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インソールについての試験

スイス・インソール・システムはETHチューリッヒでの異なる試験から得られた科学的結果に 基づいています。
スイス・インソール・システムの測定値は、医師、理学療法士、指圧師が使え るように簡略化されてまする。スイス・インソール・システムの主要部品はCADの部品です。 CADの部品では、インソールは人の歩行、足の機能、足の運動、インソールの人の健康に 与える影響についての試験から得られた異なる結果を基に設計されています。スイスの科学者と バイオメカニクス社の研究者が、足の不具合やインソールのデザインに関しての最新の知識を 使ってインソールを設計しています。


教授Dr. A. Stacoffの論文によるインソールの経緯

足の装具(インソール、アーチサポーターなど)は18世紀までさかのぼり、 20世紀にはいると米国とヨーロッパで工業的に製造されるようになりました (LovettとCotton, 1898; Ata?Abadiら, 1974, Cavanagh, 1980)。
昔から、足装具は重度の歩行困難と足に障害のある患者の治療する臨床現場で使われてきました (Philips, 1990; Wu, 1990; Bowkerら, 1993)。
ランニングによる怪我の装具を使った治療は 1970年代半ばから行われており、バイオメカニックの研究者らが注目していました。
従って、ここで提示されているランナーでの装具の効果に関する文献は、 整形外科領域の治療試験結果、ならびにランニング時の下肢の運動に対する装具の効果を 定量したバイオメカニックス領域の試験結果が含まれています。 次の項で、インソールについてDr. Stacoffの試験からその一部を概略知ることができます。


2.3.1 装具に関する治療成績試験

装具をランナー(n=83)に装着したときの成績を後向き研究で最初に報告したのはJamesら, (1978)でした。
硬性の装具(n=39)と軟性の装具(n=44)を用いたランナーの78%に有益な 効果があると著者らは認めました。
Eggold (1981)は、146名のランナーに装具を個別に装着 したところ、障害の完全消失がランナーの40%、部分的消失が35%であったと報告しました。
Segesserら(1987)は、スポーツをやっていて長期にわたり健康障害のあった人578名に装具を 装着し、症状がほぼ完全に減少したのが75%であったことを報告しました。
Lohrer (1989)は、装具を内側に装着して62名のランナーを治療したところ非常によい成績が得られ、上部が熱可塑性で できた装具と底部がコルクでできた装具で有効率はそれぞれ34%と42%でした。
Grossら(1991)は、347名のランナーのフィードバックから症状が完全に消失した者は31%、かなり改善した者45%である ことを報告しました。
使用した装具を種類別に分類すると、軟性装具(63%)、半硬性装具(23%)、 硬性装具(14%)でした。これらの症候群、膝蓋軟骨化症、アキレス腱障害、膝蓋大腿部痛症候群、 その他全てで有効でした。

要約すると、治療成績試験はランナーに装具を使用して70-80%が有効であることを報告しています。
この良好な成績は、形状の異なる装具、(軟性から硬性までの範囲の)材質の異なる装具、 靴の内側の場所の違いでも達成されています。
従って、装具の装着を改善するためのコンセンサス やガイドラインはありません。
さらに、治療成績の結果は主観的評価および/または装身具で障害が 解消しなかったとき報告していない被験者によって影響を受けることが考えられます。
従って、装具を系統的に変えたときの下肢の運動変化と症状の軽減に対する効果を定量する研究が、 今後必要であると思われます。
さらに、軟性、半硬性、硬性の装具でランニング傷害の治療が成功したという事実から、 装具の効果は物理的および/または固有受容メカニズムによるという結論が導かれます。
最初の症例では、装具が足に力を与え、それによって足を動かしたり、 外転などの負荷の運動が減少すると考えられます。
2番目の症例では、装具を装着すると足の皮下に あるレセプターからの求心性フィードバックが増加し(Feuerbachら, 1994)、 これにより筋肉を反転させる足の筋肉の収縮が起きて外転が増加するものと思われます。
従って、治療成績試験の結果が有効であったことがランニング時の物理的効果および/または 固有受容効果によるものであるかどうかは、現在のところ不明です。


2.3.2生体力学試験における装具

装具のランニング時効果の試験は、ほぼ20年にわたりバイオメカニックスの研究者にとって魅力的でした。関連文献は主に外転(回内運動)に対する装具の影響に集中しており、ごく一部の研究では脛骨と膝の運動の影響について報告しています。/p> 装具の外転運動に対する効果: 装具のランニング時の効果を試験したのはNiggら(1977)が最初でした。
このグループが開発した方法はその後のこの領域のほとんどの研究に採用されました。
Niggら(1977)は、疼痛のある被験者の歩行の特徴(最大外転、初回外転)を装具が健常人の ように変えることができると結論しました。
Cavanagh (1980)は、それぞれの層を追加して 装具の厚みを2度増加させると最大外転が減少することを認めました。
しかしながら、 Batesら(1979)とRodgersら(1982)は、装具を装着してランニングしたときと装着しないで ランニングしたときで有意差は認められませんでしたが、装具を付けると外転の開始は遅くなり、 早く消失することがわかりました。
Tauntonら(1985)は、装具を付けると最大外転が1.6度と2.5度(±2.7度)の間で 有意に減少しますが、最大に達するまでの時間には差がなかったと報告しました。
さらに、 最大外転で左右に差のあることが検出されているが、この所見は全く検討していませんでした。
Smartら(1985)も、内側に装着した装具と電子角度計を使ったとき、足首の外転が有意に減少 (6.3度±6.2度) することを認めました。
Niggら(1986)は、装具を使うと接地するときの後足の 初回外転が有意に減少(4.4度)したが、最大外転は有意に減少しませんでした(2.9度)。
さらに、装具の設置場所の違いの比較では、靴の内側の最後部(載距突起を支えている)が 踵の初回外転減少効果が最も有効でした。
Kozakら(1991)は3D試験で、横足根関節の回内運動を減少させるように設計された装具を 使い後足には何も付けないとき、総外転が20%減少することを認めました。別の3D試験でEngと Pierrynowski (1994)は、膝蓋大腿部痛症候群のある被験者における軟性装具の効果は、 ごく軽微(有意差なし)であることを認めました。
ゆっくりとランニングしているときの外転は、足が地面に着地(初回外転と関連する項目)したとき 2.5度、また中程度の立脚姿勢では0.8度それぞれ減少しました。
しかしながら、 これらの小さい効果が報告されている標準偏差±2-3度で生物学的に適切なものであるか どうかはわかりきっています。
Van WoenselとCavanagh(1992)は、内反靴(靴の中底の中に取り付け、内側に向かって 10度傾斜させたもの)は、通常の靴(傾斜していないもの)と比べ、最大外転が9.5度有意に 減少しました。外反靴(側面に向かって10度傾斜させたもの)では最大外転が9.9度増加しました。
PerryとLafotune (1995)は、6.7度変えた同じ3つの靴を使うと、通常の靴と比べ外反靴は最大外転を 8.8度増加させました。この結果は、8度の内反靴は通常の靴と比べ外転を5度有意に抑制し、 8度の外反靴は外転を8.9度増加させたというMilaniら(1995)の研究結果と同じでした。
この3つの全ての試験では、後足から(少なくとも)最初の第一中足の基底部までの範囲の 靴底のサイズ変更は靴の中に取り付けられた靴装具と比べ大きかったのです。
従って下肢の 動態の装具による矯正と比べ、くさび形の靴底の方が効果が大きいことが予想されました。
ごく最近の研究では、Niggら(1998)が靴全体と足の外転に対する中敷きの群平均効果は1度未満 (有意差なし)であることを認めました。さらに、個々の結果では、試験した異なる中敷き (軟性と硬性)を使った被験者で差がみられました。


装具の脛骨と膝に対する効果

ランニング時の膝での脛骨の内部回転や運動に対する 装具の効果はよく理解されていますが、報告されている結果は議論の余地があります。
Tauntonら(1985)は、トリプラント電子角度計を使い、脛骨大腿部の回転、膝の外反位置異常 (これは膝内転と解釈できる)、踵の背屈、脚の外転では、装具を装着したときと装着しなかった ときで有意差を認めませんでした。
一方、足底屈、足を打ったときと踵の最大背屈の間の時間間隔、 左右の差を調べる種々の評価項目に、有意差が報告されました。
EngとPierrynowski (1994)は、 ゆっくりとしたランニングで軟性装具を使用した結果、中程度の立脚姿勢では脛骨大腿部の 最大内部回転に変化のないことを報告しました。

同様の結果はSmartら(1985)が報告しており、3D角度計を使って測定した脛骨大腿部の内部回転に 対する装具の効果は有意ではありませんでした。
Kozalら(1991)は、脛骨の総内部回転が装具の 使用で8%増加したことを報告しました。
Lafortuneら(1994)は、歩行時の脛骨内部回転に対する 10度の内反靴と外反靴の効果は有意ではなく、その効果は平均でわずか1度と3度の間であったと 報告しました。Niggら(1998)によると、装具による脛骨の内部回転に対する群平均の減少は1度未満 (有意差なし)でした。

足の障害と下肢の疼痛についての異なる試験から得られたインソールのエビデンスについての 試験を次に示します。

著者 例数 試験デザイン エビデンス
Jamesら(1978) 83 ランニング試験 障害の完全消失78%
D'Ambrosia(1985) 200 ランニング試験 障害の部分的もしくは完全消失90%
Donatelliら(1988) 200 ランニング試験 障害の部分的もしくは完全消失70-90%
Lohrer(1989) 62 ランニング試験 完全消失76%、部分的消失20%、無効4%
Grossら(1991) 347 ランニング試験 完全消失75%
Baurら(2001) 232 8週間のインソール治療 障害の部分的もしくは完全消失60%
Eggold(1981) 159 ランニング試験、膝の障害 疼痛消失95%
Saxenaら(1998) 102 ランニング試験、下肢の疼痛 部分的もしくは完全消失77%
Segesser(1987) 578 ランニング試験 ほぼ疼痛なし75%

スイスインソールシステムは、ETHチューリッヒでの複数の試験の科学的結果に基づいています。
これらの試験では、異なる種類の矯正の効果とインソール治療のエビデンスに対する影響を 見つけようと試みられています。
これらの試験(Kryenbuhlら, 2004, Kryenbuhlら, 2006, Wolfら, 2007)から得られたノウハウはスイスインソールシステム(CAD部品)に反映されています。
スイスバイオメカニックス社のノウハウによって設計されたインソールのエビデンスは高い。 足と膝に障害をかかえていてインソールを治療に使った人のおよそ80-92%は、障害が完全に 消失しています。